理想を柔軟に聞き入れる

自由度の高さに惹かれた

グレーのガルバニウムがお洒落な印象をもたらす外観

土間リビングにアンティークの家具がセンス良く配され、薪ストーブがじんわりと家中を温める。スピーカーからJAZZが流れるオシャレな空間で会話を楽しむのは、Kさんご夫妻。福岡市からご主人の地元である田川郡にUターンし、 ご実家の敷地にマイホームを建てた。 家づくりにあたって住宅メーカーや工務店5〜6カ所に話を聞きに行き、最終的に依頼したのが[塚原建築設計事務所]だった。

薪ストーブを備えた土間リビング。手前の飾り棚は、耐震壁を利用したニッチを設けた。空間を有効活用し、広さと利便性を備えたリビングを実現。リビングの大きい壁はプロジェクターシアターのスクリーンになる

「これまでの経歴や実績から、理想と現実（要望やコスト）といった様々な要素をシンプルだけど濃密な空間にまとめあげるセンスを感じて依頼しました」とご夫婦。パートナーが決まっていざ本格的な家づくりに向けてスタートを切った…が、ご夫婦の理想には相反するものがあり壁にぶつかることもあったそう。

ダイニングキッチンには杉の無垢材を採用。ニッチの隠れ高窓からは朝日が入り、夜には月が見える

「私はどちらかと言うと見た目よりも性能重視。この地域は冬の寒さが厳しいので、防寒対策を重視したかったんです」と奥さま。一方でご主人は「僕はヴィンテージのインテリアが好きなので、それが似合うオシャレな空間にしたかった。見た目重視ですね（笑）。薪ストーブも置きたかったのでリビングには土間を入れたい。これは譲れませんでした」。 その他にも広いリビング、来客があっても顔を合さずにお風呂や洗面が利用できる動線、床には無垢材…自分たちの希望をそのまま盛り込んでも雑多な家になったかも。想像もしてなかった提案でバランスを整えてもらえる設計のプロに依頼して良かったと感じているそう。

2階には遊び心のあるセカンドリビングを設けているのも特徴。開放感がありつつ、程よい広さに設計しているのでワークスペースにもぴったり。全ての家の窓が周囲の目線から絶妙に外して設計されている

上下階で領域を分けて

見た目と使いやすさを両立

ダイニングの西側障子からは柔らかい光が入る

1階は土間リビングとダイニングキッチン。2階はお風呂・洗面所・個室・セカンドリビングという間取りにして、上下階で生活の場と寛ぎの場とに領域を分けた。昼間にはたっぷりと光が注ぐように、木製の造作大型窓を南向きに設けた土間リビング。薪ストーブの煙突を2階の寝室内に通したことで、ストーブを付けた時には1階だけでなく2階も効率よく温まり真冬でもポカポカ。広い土間があっても寒さは気にならないという。

アクセントクロスが印象的な寝室。薪ストーブの煙突が通っているので、ストーブをつけた時にはじんわり温まる

実際に置く家具やインテリアは事前にサイズを図って、ぴったりと収まるように設計したのも”オシャレ見え”のポイント。1階の壁はヴィンテージ家具や間接照明が映えるような落ち着いた色味の珪藻土クロスをセレクトした。打ち合わせの際には設計事務所のVRを使って室内の雰囲気や、段差、天井の高さなどの細部もチェックしながら家のイメージを固めたのも、工事後に思ったのと違うと後悔することも無く良かったそう。

ご夫婦それぞれの”ほしい”が詰まった家は、見た目も使い心地も、居心地も抜群。生活にも心にもゆとりをもたらす、スローライフが叶いそうだ。

室内干しができる洗面所にはアイロン掛けができる台を用意

川崎町でエステサロンを経営する奥さま。職業柄所有するコスメ類を収納できるよう、洗面所の家具は全て設計者のオリジナル。鏡面はスライド式収納