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木工職人とアーティストの相乗効果|ARBOR(大川市)

ARBOR
アーバー
(大川市)
 

規則正しく並んだ柱とアートが融合

 

 「つくる人をつくる森」をコンセプトに2022年、大川市に誕生した『ARBOR(アーバー)』。芝生の丘のある緑豊かな私設公園が出迎えてくれ、その奥には、アウトドアグッズを販売するショップが併設する。店内にはカフェがあり、店内外のスペースでコーヒーを味わうことも。外の広場で飲食店がフードを販売したり、夏の間はかき氷を販売したりと、様々なポップアップも開催。

 運営するのは、全国各地で店舗内装デザインを手掛ける『クレアプランニング株式会社』。家具の産地として有名な「木工のまち」大川市に自社工場を持ち、家具の生産も行う。大川市では、近年、職人の減少という問題に直面している。職人には発信の場がなく、仕事を見てもらう機会がない。そこで、『ARBOR』に来店する子どもから大人までの幅広い人々に木の魅力を感じてもらい、職人を志すきっかけになればと思い、この施設が生まれた。木工場が併設しているので、事前に予約すると職人の作業風景も見ることができる。店内にはアーティストの作品がインテリアとして展示され、職人とアーティストのコラボレーションにより、双方の魅力を発信できる空間に。また、一際目を惹く中庭は、波佐見町にある『西海園芸』の庭師である山口陽介氏が手がけた。神木としての役目を終えて糸島に流れ着いた流木が大胆に配置されている。
 

3.5×3.5mの間隔で柱を立てた空間にアートが映える
 

丸太の輪切り断面をイメージしたロゴマーク
 
 空間を形成するのは、福岡県産材の間伐杉を使用した、45㎜×45㎜の角材と35㎜×150㎜の板材のみ。板材を柱に差し込むことで仕切りを作り、レイアウトをフレキシブルに変更することができる。3.5×3.5mの間隔で柱が建てられているので、イベントの際には区画割りして、各店舗のブースになる。この1区画で3〜4名がプライベートを確保できるとされており、地震などの災害時に避難所として活用することも想定している。区画ごとに照明の色をRGBにより指定できるのも面白い。白っぽい光からオレンジの光へと、朝から夕方へのシーンを演出したり、桜の時期はピンクの照明にしたりと、時間帯や季節に応じた調光を楽しめる。紫外線に近い光を出すこともでき、中庭の植物の光合成にも役立てている。

 細部まで考え抜かれた『ARBOR』だが、実は未完成だという。外には、室内の柱と同じ間隔で石が並べられ、今後もスペースを増設してポップアップなどに役立てる予定。まだまだ進化し続ける『ARBOR』が楽しみだ。
 

キッズスペースには、工場で出た端材で作った積み木を
 

隣の工場で作られたテーブルが配置されたカフェスペース。椅子はアウトドアチェアや丸太を利用
 

駐車場だった場所を盛土した私設公園。中央部は鎌倉で有名な『サボりカフェ』を営む寒川一氏が監修した焚火スペース。公園全体は長崎の庭師、山口陽介氏がデザイン施工し、50本の桜を植樹
 

京都の田上雅彦氏の作品である雲がモチーフのアート。中央の作品は彫刻家、新庄良博氏によるもの
 

天井の神山隆二氏が手がけるネオンのアートには、『ARBOR』の文字が隠れている
 
 
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ARBOR
アーバー
(大川市)
 
大川市大字三丸1231-2
0944-87-2664
10:00~18:00
定休日:水・木曜
Instagram: @arbor0944