イギリスのパブ文化と
中東・地中海料理の融合
casime gastropub
カシメ・ガストロパブ
(福岡市・赤坂)
2022年10月、警固四つ角のすぐそばにオープンした
ガストロパブ。イギリスのパブのような空間と、アン
ティークを活かしたイギリスの邸宅のリビングを融合
させた、唯一無二の空間が誕生しました。
店内に入るとライブ感と料理を引き立てる6m以上のカウンターが目を惹く。このカウンターにはアフリカのマホガニークローチという希少材を採用。力強い杢目をシンメトリーに、ブックマッチという手法を使って製作してもらった
さまざまなテイストが絶妙に融合した空間
まるでイギリスの邸宅に招かれたような趣のある空間。ペンダントライトは飛松灯器の飛松弘隆氏の作品
2022年10月にオープンして以来、瞬く間に人気店の仲間入りを果たした『casime gastropub』。この空間を手掛けたのは、福岡出身で現在は東京を拠点に活動する北原貴光さんだ。株式会社ウェルカムのインハウスデザイナーとして「DEAN& DELUCA」全店舗や「CIBONE」などを担当してきた北原さんは、『casime』の代表・藤原太一さん、料理長の武田淳也さんに「DEAN & DELUCA」の同僚として出会い、親交を深めてきた。その後、藤原さんと武田さんは、福岡店オープンの中心メンバーとして福岡へ。そんな2人が福岡で店を出すことになり、北原さんに依頼したのは、自然な流れだったのだろう。
前職時代、海外事業部に所属し、2年半ほどロンドンに駐在していたという藤原さん。現地のパブ文化を体感し、その文化を福岡で広めたいと考えた一方で、お酒中心のパブや、料理メインのビストロでもない、お酒も料理もしっかりと楽しめるガストロパブの業態をしたいと考えた。
お酒はソムリエ資格を持つ藤原さんが、クラフトビールや自然派ワインを厳選。料理は武田シェフが得意とするハーブやスパイスで食材を引き立てる地中海料理や中東料理をメインに据えた。
カウンターの吊り棚やエントランスドアの取手にはスパイスを連想させるオレンジが差し色に
手前のカウンターとは打って変わった落ち着きのある空間。
北原さんは、今回のプロジェクトメンバーとして、空間のみならず、コンセプトを一緒に作るところからスタート。店名の『casime』は、2つのモノをつなぎ合わせるという意味の〝かしめる〞から名付けたもので、パブとガストロノミーレストラン、お酒と料理、料理人やスタッフとお客様などを繋ぐことを随所に感じさせるディティールを意識したという。
ファサードは、既存のスチールのサッシを活かしながらも、木のように見えるスチールと〝かしめる〞ことで温かな印象に。中が見えるガラス張りであることもあって、入りやすさを演出している。
入ってすぐの左手にはパブらしいカウンターがあるが、食事もしっかり楽しめるようにと、奥行きを広くした。一方、店の奥は、イギリスの邸宅のリビングを彷彿とさせる落ち着いた空間。ソファやダイニングテーブルなどがあり、イギリスの家に招待されたような空気が流れる。
「本格的な中東料理や地中海料理、選りすぐりのお酒、洗練されたサービスが揃った、他では類を見ないスタイルのお店になりました」と、北原さん。福岡にいながらにしてイギリスのパブやレストランを訪れたかのような空間は、早くも多くの人の心を掴んでいる。
Designer Profile
MEMEMENT(ミームメント)
北 貴光さん
1971年福岡生まれ。福岡の設計事務所、岩田屋の装飾演出
を経て独立。福岡時代は「epi CAFE」や「LILLET」を手掛
けた。その後、拠点を東京へ移し、株式会社ウェルカムのイン
ハウスデザイナーとしてDEAN&DELUCA 全店舗、CIBONE
などを担当。2022年からは設計事務所「CLOCK」へ参画し、
飲食店を中心としたインテリアデザインやブランドディレクションも
手掛けている。 Instagram: @internettakameme
奥にあるベンチシートにはイスラエルの生地を使用している。
店内のあちらこちらにはヴィンテージ家具が置かれ温もりのある空間に。
トイレの取手やサインはイギリスから輸入したものを採用している
左右が対象的なカラーのファサード。温かみがありお客様も入りやすい
casime gastropub [カシメ ガストロパブ]
福岡市中央区赤坂1-1-5 鶴田けやきビル1階
092-707-1605
12:00~16:00/17:30~23:00
休:火曜、日曜昼
P:なし
カード/可
QRコード決済/不可
https://casime.jp
Instagram: @casime_brewing
店舗設計から学ぶ家づくり
センスの良い飲食店やショップがあちらこちらに点在する福岡のまち。
それらの空間には、店主の想いがたくさん詰め込まれています。
今回は、福岡に縁のある建築家やインテリアデザイナーの最新作を訪れ、
家づくりのヒントとなるお話を聞きました。
01|casime gastropub カシメ・ガストロパブ(福岡市・赤坂)
02|Sphere Fukuoka スフィア・フクオカ(福岡市・薬院)
03|tōn トオン(太宰府市)