整然と組まれた杉の柱と化粧梁の部屋を、柔らかな自然の光が包む。そんなNさん邸は、南側すぐ傍に建ち迫る隣家があっても、一年を通して建物全体に明るい光が満ちるように計算された、建築家のアイデアが光るお宅だ。その仕組みは1階天井部分に横長く設けられている。2階の南側全面に設けられた採光窓から入った光を、そのまま1階に届けることができる「光の路」と名付けられた天井のスキマ。開閉が可能で、光の量の調節もできれば、煙突効果によって風の通りが生まれる構造になっている。他にもキッチンの真横には、小学生のお子さん2人の勉強に目を届かせやすい造作の一枚板のワークテーブル、そして大容量の収納棚、床の高さを土間と揃えて庭との一体感を演出したダイニングスペースなど、デザイン性だけでなく快適に住まうための工夫が随所になされている。建築家の見事なアイデアと久木原工務店のきめの細かい仕事により、Nさん一家の毎日は明るく丁寧に紡がれていく。