今回手がけたガレージは約20坪。10坪サイズでオーダーされることが多いそう。針葉樹の合板を市松貼りにしたオープンシェルフをアクセントに
棟生工務店
株式会社 梁
(糸島市)
使い方次第で、部屋にも庭にも
ガレージの、新しい提案
コロナ禍で、見直されるようになった「家時間」。
「心地よい木の家」を造り続けてきた[棟生工務店]は、
新事務所の設立とともに、「新しい暮らし方」を支える空間づくりを、
これからも提案していきます。
自分らしい暮らし方に
もっと幅と、アイデアを
糸島市に拠点を置きながら、糸島市、福岡市西区をメインエリアに「心地よい木の家」を造り続けている[棟生工務店]。その新事務所が、2021年4月、糸島市志摩津和崎に完成した。
到着すると、傾斜地を含む場所に建物が2棟。代表の吉富直生さんの案内によれば、奥が事務所、手前がガレージとのこと。とは言え、特に手前の建物は、三角の瓦屋根に木製の両開き扉など、一見「ガレージ」とは思えない仕様。中に入ると、そこにはさらなる驚きが待っていた。
床はモールテックスでシンプルに仕上げてあるが、壁・天井にはふんだんに木が用いられ、大胆に梁も行き交う。「ガレージ」と聞いてイメージしがちな無機質な空間とは、まるで異なる雰囲気だ。
「ガレージ=車・バイク、という印象を持つ方が多いかもしれませんが、これから弊社が提案していきたいのは、もっと自由に使える空間。ビリヤード台やダーツボードを置いてもいいし、釣りやアウトドアなどの道具を並べても。絵を描いたり、レザークラフトなどに没頭できるアトリエ、ライブラリーとして使うのもいいかもしれません。木を用いてリラックス感のある空間に仕上げたのも、ガレージという場所に、もっと幅のある使い方をイメージしてもらえたらと思ったからです」。
ちなみにこちらの「ガレージモデル」には、電気・水道、トイレも完備。「夏場はクーラーを設置していると快適ですが、冬場は扉を閉めておきさえすれば、思ったより冷えないんです。日差しや雨、風、雪も避けられるので、庭よりも活用できると思いますよ」。
コミュニケーションが
生まれる場所を
使う人によって、自由自在に表情を変えられる「ガレージ」。こうしたフレキシブルなスペースを、「家族や仲間とのコミュニケーションの場としても活用してもらえたら」と、吉富さん。またその思いは、このガレージと並行するように建てられた新しい事務所の中にも生かされている。
今回、新しく完成した事務所は、実際に訪れてみるとよくわかるが、「事務所」と表現するには違和感があるほど居心地のよい空間。中心には、オーストラリア生まれの鋼製ストーブが据えられ、一角にはキッチンも。床や天井には惜しみなく木材が使われており、「こういう家に住んでみたい」と、自然に思わせてくれる場所でもある。見渡すと、天井の杉、壁の漆喰、床のサイプレス、ドアのヒバなど、さまざまな素材が目に入るようになっているのも特徴だ。
「こうしたディテールがお客さまとのコミュニケーションのきっかけとなり、『もっとこうしてみたい』『こんなパターンだとどうだろう』といった話につながっていくことも多いんです。日々の業務に追われて完成までには3年の月日を要しましたが、造ってよかったと、今しみじみ感じています」。
床下には、[棟生工務店]の家づくりに欠かせない、『マーベックス社』の第一種熱交換型セントラル換気システム『澄家(すみか)』も設置。ここは、事務所でありながら、[棟生工務店]のショウルームとしての機能も果たしているのだ。
家族や仲間が集まる
コミュニケーションの場に
新事務所は、平屋の一軒家。建物の周りには、ラフに石を敷き詰めて。さりげない演出も参考にしたい
ウッドデッキの上を覆うように、広く取った軒がポイント。ここに取り入れた伝統的な工法『登り梁』は、デザイン的にも秀逸
《わが社のここがお気に入り》
[オフィス]
さまざまな木が、その個性を際立たせながら共生する室内。事務所裏にある山の緑を望むことができる窓の配置、ひとつひとつにもこだわりが
見て、触れることで
「わが家」の想像が膨らんでいく
システムキッチンは造作。左右、引き出しの表面には、一枚板のナラの木を採用
調理もできる暖炉を空間の中心に。
キッチンの天板は、シャープなモールテックス仕上げに
「本当にいい家」を
追求していきたい
ショウルームを兼ねた事務所、新しい提案のひとつであるガレージを手掛けながら、改めて、「お客さまにとって本当にいい家を造れているだろうか?」について考えたという吉富さん。「一組一組の思い描く理想のライフスタイルに合った家を造るために、性能や素材に関する情報を常にアップデートして、準備を怠らないようにしています」。営業の範囲を、「本社から車で30分以内」に絞っているのにも理由がある。「多くのお客さまにとって、家は一生に一度のもの。できるだけ見守っていたいんです」。その姿勢が随所に表れた新しい拠点。ドライブの途中、気軽に見学に訪れてみてはどうだろう。
玄関側から見た事務所内。左奥は琉球畳を敷いた和室。「小さなお子さまを連れて打ち合わせに来られた方にも喜ばれています」。右奥にはシャワールームも
デスクスペースを発見して初めて「事務所」であることを実感。2021年以降は、新スタッフも入社
玄関からリビング方面に回り込むように設置されたウッドデッキ。ビンテージ感のある素材でこなれた表情に
家はこれからもっと、
自由なものに
大きな木々に守られるように建つ[棟生工務店]の新事務所とガレージ。糸島エリアを中心に土地探しにも力を貸してくれる
棟生工務店
株式会社 梁
(糸島市)
糸島市志摩津和崎302
TEL 092-327-5139
https://tohsei-itoshima.jp/