土地の個性を

最大限に活かした家

“ナナメの庭”と、スロープ状の駐車場がポイント。薄く仕上げた屋根で建物全体がスタイリッシュに

閑静な住宅街の中、パッと光が差したように、存在感を示す白い家。道路側に設けた”ナナメの庭”では、植物たちが季節ごとに様々な表情を見せながら、道ゆく人を楽しませてくれる。

この家の主であるHさんと、設計を担当した[塚原建築設計事務所]の代表・塚原渉さんは、大学の同級生。と聞けば、最初からタッグを？と思いがちだが、ここに至るまではいくつかの紆余曲折が。

社宅の閉鎖に伴い、家の購入を考え始めたHさんは、まずマンションの購入を検討。けれど関東在住時、大きな揺れを経験したことから、気持ちは次第に戸建てへ。そしてある土地を発見。「条件付きで施工会社は決まっていましたが、土地に魅力を感じていたので話を進めました。でも話が進むたびに、”できること”より”できないこと”を推される雰囲気から家づくりが楽しくなくなってきて…」。

そこで、思い切って白紙に戻し、改めて土地探しを開始。と同時に、塚原さんに相談した結果、ユニークな土地の形状をプラスに生かしつつ、一家のライフスタイルに100%寄り添う家が完成。「デザインと機能性、その両方が緻密に落とし込まれている上に、暮らしていてすごく楽しい。彼にお願いして、本当に良かったと思います」。

VRによって叶えられた

家族にとってベストな空間

塚原さんと家づくりを進めていく中で、Hさんが驚いたのが、VRを使った空間体験。「図面ができた段階で、3D化した室内に入れるんです。天井の高さや、光の入り具合などもリアルに体験でき、しかも、ここで感じたことを改めて図面に反映してくれる。納得しながら家づくりを進められましたし、何より”早く住みたい”と、親子でワクワクしていました」。

ダイニングの上部にあたる2階のブリッジに、デスクと本棚を。視線の先には大きな窓があり、福岡市内を一望できる

そうして完成したHさんの家は、1階にLDKと水回り、デッキテラス、2階に主寝室と子供部屋、ウォークインクローゼットという間取り。さらに、光の入るバスルームやブリッジ状のライブラリー、屋根裏風の勾配天井といった“遊び”が随所に加えられ、まさに多趣味で朗らかなH家らしい家に。

LDKはL字に配置。リビングはあえてコンパクトにして、くつろぎを重視した”お籠り系”に。床材には、ラフな雰囲気を演出してくれるナラ材をセレクト

「サーフィンやキャンプなどを好む僕たちに合ったテイストも、さりげなく取り入れてあって」とご主人が言えば、「こう見えて、バリアフリー対策も万全。将来、老いたふたりが快適に楽しく過ごせる家でもあるんです（笑）」と奥さま。

晴れた日はデッキでのんびり。庭の手入れをして、お籠り系リビ ングで読書して…。ここで過ごす、 全ての瞬間が一家の大切な宝物に。

LDKから続く、緑に囲まれたデッキは友人たちからも大好評だとか

ガラスを多用した明るく広いバスルームと洗面。「サーフィン帰り、のんびり湯船に浸かる時間が最高に幸せです」とHさん。洗面の高窓からは朝日が入る

主寝室は天井が勾配に。「この屋根裏感が落ち着けるのか、ぐっすり眠れるようになりました」とのこと