NO HOBBY, NO LIFE!
好きを極めた趣味人の家

尽きない好奇心と、いつの間にか増えていくコレクション。 だけど、スッキリ暮らしたい! そんな欲張りな願いが叶うとしたら? 大好きな家族とアイテムに囲まれた、至福の暮らしを訪ねました。

建築家と始めよう 個性豊かな家づくり

開放感たっぷりのアイランドキッチンは、おもてなし好きで料理上手な奥さまにぴったり。後片付けはご主人が担当しているそう

「そぉっと、ゆっくりね」。真剣な表情でお菓子づくりに臨むのは、まるでママのミニチュアのように愛らしい女の子。「上手にできた?」と微笑む奥さま、「美味しそうだな〜」と覗きにきたご主人が集まっても、まったく狭さを感じない開放的な空間は、[ルミナスホーム]が手がけたものだ。

潔いカラーリング、マットな質感に目を奪われる外観は正面からのフォルムにこだわった。道路に面した玄関前に壁を設け、見た目のアクセントと目隠しの二役を担わせている

出会って20年、人生の半分をともに過ごしてきたというMさん夫妻。独身時代はお互いに長い転勤生活が続き、遠距離恋愛を余儀なくされたが、愛娘の誕生をきっかけに「熊本に家を建てよう」と決心したそう。歳を重ねても不便のないよう交通の便のいい場所を…と探し当てたのが、同社が所有していた現M邸の建つ土地。新たな縁の始まりだった。同社の家づくりは、東京で活躍する建築家と手を取り合って進めるのが特徴だ。建築家のH氏と奥さまは、打ち合わせを始めるなり俄然意気投合してしまったのだという。「素敵だなと思うものが同じだったので、本当にトントン拍子に話が進んで」と弾む笑顔の奥さま。「僕はどうぞどうぞ、お好きにという感じでしたね(笑)」とやさしい苦笑をこぼすご主人だが、奥さまのセンスには全幅の信頼を置いていたそう。

「死に収納はつくらない」 衝撃のパワーワードが鍵に

ハイエンドの窓から光を採り入れ、春の日だまりのような心地よさを演出。扉はほぼ引き戸で統一されている

生活に必要な要素は1Fに集約。2Fは何より大切にしている趣味の空間にしたかったというMさん。家を建てるにあたって最大の懸念事項は、お互いの趣味にまつわる大量の荷物だった。マンションの1室を完全に専有していたモノたちを、捨てる? 収める? 悩みに悩んだが「死に収納をつくるのはやめましょう」という建築家のH氏の言葉に衝撃を受け、瞬時に方針が決まったという。「放り込んだまま使わない収納を指す造語らしいんですが、まさに私のこと」とはにかむ奥さまは、大規模な断捨離を敢行。引っ越し先である新居には本当に大切なアイテムだけを持ち込むことに。いつでも眺めていたいお気に入りは専用の趣味部屋に壁いっぱいの本棚をつくり、ディスプレイのように飾る。各部屋に必ず大きめの収納スペースを設ける。家族のライフスタイルに寄り添う設計技術が遺憾なく発揮された結果、驚くほど暮らしやすい家が生まれた。また、「私は偏頭痛持ちなので直射日光が得意じゃないんです」と奥さま。それゆえM邸の窓は大きすぎず、近すぎずの絶妙な塩梅。吹き抜けの上部に設けた天窓や廊下に穏やかな光をもたらす3連窓など、考え抜かれた採光計画は、見えない快適さを支えている。 家は人生を楽しむ場所 仲間と相方と、これからも

裁縫や料理の腕前はプロ顔負け、書道は師範代の資格を持つ多彩な奥さまと、家事マスターのご主人。一見すると真逆のふたりだが、人生の優先事項はびっくりするほど似通っているそう。なかでも好きなことをとことん楽しむ姿勢はそっくり! 「20年も一緒にいると友人も混ざってくるんです。ワイワイ過ごすのが大好きなので、この家にもたくさん招きたいですね」と目を細めるご主人は奥さまを〝相方〟と呼ぶ。「生まれ変わったら、男女を入れ替えてまた結婚しようって話しているんです」と笑うふたりを、やさしい秋の光が包んでいた。

この建築を手がけた会社