人と想いに勇気づけられて
復活を遂げた「バンコ」の今

熊本地震によって大きな阿蘇郡西原村。 ここでカフェを営んでいた『バンコ』は 約一年半の休業を余儀なくされた。 不安が募る中、[ブレス]の確かな仕事は Oさん夫婦の復興への歩みを支えていた。

誰からも愛されるバンコは みんなの笑顔が集う場所

阿蘇郡西原村に一風変わったにぎわいを見せるカフェがある。お客さんの顔ぶれは、若い女性や家族連れ、職人さんやバイカーまで実に幅広い。年齢や性別、職種に関係なく誰もがわが家のように集うカフェ、その名も「カフェバンコ」。屋号に掲げる〝BANCO〟とは、ベンチの意味。〝日常の合間にフッと一息つけるベンチのような場所に〟との想いから店主のOさんは名付けた。「屋号に〝カフェ〟って付けたけど、名前間違ったかなって思ってます(笑)。うちは〝食堂バンコ〟ですね」。「バンコ」のメニューは、ハンバーグやチキンカツなど気兼ねなく頼めるラインナップがそろうものの、その味は本格レストランさながら。和牛サーロインを使ったローストビーフや肉汁あふれるハンバーグ、一晩寝かせて柔らかくジューシーにした鶏肉に、手作りのパンから作ったパン粉を絡めて仕上げるチキンカツなど、厳選された材料で丁寧に作る料理の美味しいこと! 夢中でペロリと食べ上げ、お会計に向かうとリーズナブルな金額に拍子抜けしてしまう。「時々お客さまに〝お会計間違ってない?〟って言われるんです。そんな時〝大丈夫です。ここはバンコですよ?〟って常連さんが僕らの代わりに応えてくれるんです(笑)」とご主人はうれしそうに話す。

恐怖の中、ブレスと 再会できた喜びが力に

カフェのリスタートを機に内装も自分たちで少しづつリニューアルしたというOさんご夫妻。内装は自分たちの手で仕上げた

実は取材班が「バンコ」を取材するのは、2回目。最初に訪れたのは店がオープンして間もない2015年の春のこと。それから約1年後、熊本地震が起こり「バンコ」の建つ西原村の小森地区は大きな被害を受けた。中でも「バンコ」は、目と鼻の先にある井戸に不具合が生じ、Oさんご夫妻の自宅兼カフェは、約半年という長期の断水が続いたのだと言う。躯体がしっかりしていたため、建物は崩壊には至らなかったものの、地盤が沈み建物全体が約30㎝も傾いてしまったのだ。いつもポジティブなOさんご夫妻もこの時ばかりは地震の恐怖に震える夜を過ごしたとか。「あの時何が起こるかまだまだわからない混沌とした状況で、道路もまともに走れない中、陸の孤島と化してしまった僕らのところに[BLESS]の相馬さんが歩いて来てくれたんです。その顔を見た時に何よりホッとしました」とご主人は当時の状況を振り返る。

確かな施工は信頼の証! 元気をくれた〝いい仕事〟。

地震の爪痕が残る中、元の生活にいつになったら戻れるのか、焦る気持ちが募る中、大きな一歩を踏み出したのは地盤工事を終えた時だった。「地盤の復旧工事を行う業者さんは、地盤調査会社を介した信頼できる会社を相馬さんが手配してくれたのですが、本当にその技術の高さに驚きました。数ミリのズレもなく建物を復旧してくれたんです! その業者さんたちが〝今日はいい仕事した~!〟ってうちのご飯を食べてくれる。それがうれしくて仕方なかったです」。復興へ向かって歩みを進める中で、周囲の人々と以前にも増して付き合いが深くなったとか。「何が財産なのか、っていうことですよね」。そう微笑むOさんご夫妻。再開を待ちわびていたファンが集う〝食堂によく似たカフェ〟で、おふたりは今日も手間と愛情を惜しみなく注いだとびきりのご馳走を用意して待っている。

この建築を手がけた会社